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ところで、EDI取引当事者は、当事者間における継続的な信頼関係に基づく基本取引業務の迅速・正確な処理を図るためにEDIシステムを利用することを考え、EDI取引が円滑に行われることを望み、EDI協定を締結することになる。
しかし、当事者間において協定した交換協定書に違反することにより損害の賠償をさせられることがあるとすれば、EDIの利用を躊躇することになる。
このようなことから、本条においては、取引当事者が、仮に交換協定書に違反したとしても、債務不履行により通常生じることとなる損害の賠償や故意または過失によりその相手方の当事者に与えた損害を賠償する場合を除き、当事者が予め合意したところに従い、その違反から生じる特別な、偶発的、懲罰的あるいは間接的な損害の賠償を制限しようとするものである。
2.賠償責任の制限
当事者が、EDI協定書に違反したとしても、次のような偶発的、懲罰的あるいは派生的な損害については,当事者が予め合意したところに従い、その賠償が制限される(いずれの当事者もその責を負わない)ことになる。
制限の対象となる?特別損害、?派生的損害、?付随的損害及び?懲罰的損害の概要は、次のとおりである。
(1)特別損害(賠償):Special Damage(s)
取引当事者の一方に債務不履行があった場合、その相手方は債務不履行によって蒙った損害の賠償を請求することができる。
この場合、当該債務不履行によって通常生じると予測される損害は「通常損害」といわれ、当該債務不履行からは通常は生じないが特別の事情により生じる損害は「特別損害」といわれている。
これを具体例についてみると、売主が契約商品の引渡しを怠った場合、当該商品の価格と市場価格との差額は、『通常生ずべき損害』として無条件に賠償請求が認められることになるが、買い主が有利な価格で転売する契約を、別途、締結していた場合において、売主がそのような契約の存在を知っていたか、知り得べき特別の事情があるときは,当該転売利益の損失は,『特別の事情によりて生じたる損害』として、その賠償請求が認められることになる。

 

 

 

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